何故メロンなのか… 今日は9月6日。忘れられない日になってしまった… 毎日、昼休みは可能な限り病室へ足を運んでいた。「果物」が食べたいと、ここ数日スイカ中心で持って行っていた。 「明日はこれが食べたい」とお世話になった方から頂いた「メロン」を彼女は指差した。僕は持ち帰り翌日、一口大に切りタッパに入れて持って行った。2、3日前までは車椅子に乗り談話室でお昼を一緒に食べるのが日課だったし唯一病室から離れ、たわいない話しをすることを楽しんでいたが昨日辺りからそれすら困難な状態になっていた。 「メロン持って来たよ、一緒に食べよう!車椅子乗る…」 「…無理。ここで良い、頂戴。」 タッパからメロンをフォークに刺し彼女の口へ運んだ。ゆっくり味わうように彼女はメロンを食べた。僕はもう1切れ彼女の口へ運んだ。 2切れ目を食べ終えると少し間があいた… 「やっちゃん(やすしなのでこう呼ばれていた)、 もう私ダメ… 我慢できない… 後の事はお願いします…」 癌を宣告され彼女の前で涙するのはこれで2回目だった。検査後に宣告された時とそしてこの時… 泣きじゃくりたい思いをぐっと堪え僕は彼女の髪の毛を撫でながら「何言ってんだよ」と一言、慰めにもならない情けない言葉を発した。彼女の目からも涙が溢れ出ていた… 昼休み時間も過ぎ僕は飛び出すように逃げるように病室を出た。 出るや否や主治医に呼び止められた… 「奥様からモルヒネの量を上げてほしいと要望がありました。これ以上になると奥様と会話ができなくなります。どうしましょ。」 涙が止まらなかった… 「痛みが和らぎ少しでも楽になるなら直ぐにでもそうしてあげて下さい…」 早めに仕事を切り上げ、夕方再度病室を訪れた。 そこには泣きながら母親の手を握るリタとチナの姿があった… 昨晩、僕は子供らに母親の死が近い話をしたばかりだった。彼らは今日、色んな思いで病室へ飛んで来ていた。 そこに寝ている母親はもう意識がなかった… 「メロン」を最後に口にし、そして「お願いします」の言葉を残し最終決戦へと彼女は向かって行った… 今日は、かなり飲んでます。彼女の好きだった曲を聞きながらマイヤーズを… 1本空けそうです… マイヤーズくらいでは昔は酔うことなどなかった彼女でした…
by rastamanbmx
| 2008-09-06 00:03
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